四阪島製錬所

中年期を豊かに生きる

   

若いころに男性的な「魅力」とされていたことが、歳を重ねると「魅力」ではなくなる、ということが往々にしてよくあります。

そもそも、その「魅力」を失うことが、歳を重ねる、ということと同じでもあるわけです。

杉町憲一は、そのような「魅力」を失うことに過剰に怯えている若者でした。年を重ねて、若いものだけが持つ「魅力」を失ったとき、自分には何が残されるのだろうか、ということに杉町憲一は恐怖を感じていました。

しかし、不惑と呼ばれる歳も超え、実際に年を重ねた杉町憲一は、その悩みが実にくだらないことであることに気づかされました。

中年、その人生の黄金期

当たり前のことかもしれませんが、年を重ねることで、若い頃には持ち得なかった男性的な魅力が自分のなかに発生していることに、ある日、杉町憲一は気づいたのです。

若い頃には大問題と思えていた精神の危機も、歳を重ねた杉町憲一にとって、なんてことはない問題として軽く太刀打ちできるような些事へと変化していました。

若い頃にはとても着こなすことができなかった上等な服の着こなし方や、扱いきれなかった思想も、歳を重ねた杉町憲一には年相応にしっくりくるものとして変化し、自由自在に振る舞えるようになりました。

杉町憲一は、いま、歳を重ねることの楽しみを満喫しています。

人生に訪れる黄金期の一つである中年期。
杉町憲一はその豊かな時間を歩み出したばかり。

杉町憲一のその佇まいは、若い頃には持ち得なかった中年の魅力に満ち溢れているのです。

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